火不思は何と発音するのだろう。日本人がそのまま読むとカブシとなるのだろうが、調べてみるとクーブーズ/コブス/ホーブスーなどのカタカナ表記がある。また「くわふし」というひらがな表記も存在した。
アルファベットの表記では Huobusi/qobuzなど・・・・さらに、漢字では、和必斯/虎撥思/琥珀詩/胡不思/胡撥四も存在する。
これは、文字表記より先に言葉があってそれぞれの地域で音声を文字に置き換えたためにこうなった。長い歴史を持つ謎に満ちた楽器である。
13世紀ごろモンゴルより中国に伝わったともいわれ、発祥の地はトルコだともいわれている。
中国のサイトには・・・・
・・・・とあり、よく判らないけれども「蒙古族の弦楽器」であることや「中国新疆に伝わった」とか言う内容は読み取れる。
火不思:蒙古族弾撥楽器
流伝于中国新疆 内蒙古 甘肅北部及云南省麗江納西族自治県等地
ヘビの皮を張ってあるが、どのような経路で入手したのだろう。大蛇(ニシキヘビ)である。北の国にこんなでかいヘビはいない。
いよいよ謎である。火不思という文字がなおさら謎を増幅させる。
中国では現在でも使われている三弦(さんしぇん)という楽器があるが、これは古代の火不思がルーツであろうと思われる。
日本(沖縄の)の三線(さんしん)は中国の三弦が伝わったものであり、三味線(しゃみせん)は三線をもとにつくられた楽器である。つまり、三味線はトルコかモンゴルの楽器が日本に伝わったということになる。
ヘビの皮だったり、イヌやネコの皮だったりするけれども胴に皮を張って共鳴させるという構造は同じだ。
そういえば、カザフスタンにはコブズ(Kobyz)という弦楽器があり、火不思と発音が似ている。これもやはり皮を張ってある。
トルコ、カザフスタン、モンゴル、中国、日本・・・アジアの「皮張り弦楽器」の原点は火不思にあり、か。
さらにさらに、アメリカの「皮張り弦楽器」でバンジョーがあるが、これは西アフリカのンゴニ(ngoni)とかハラム(xalam)とか呼ばれている楽器を改造したものだといわれている。火不思との関連は・・・判らない。