2008/08/14

DVDやCDの保存耐久性

DVDやCDの保存耐久性 デジタルで保存すると劣化しない。カセットテープの音楽、VHSのビデオ、フィルム写真。みんなデジタルに変換して保存すれば永久保存できる、と。
ところが一方では、DVDやCDの保存寿命は10年から100年といわれている。
これはおかしい。
永久保存とは100年のことではない。ましてや10年のことであるはずはない。おどろいた事に、品質の悪いディスクでさらに保存環境が劣悪な場合は一週間で読み取りができなくなったという報告もあるようだ。

永久とは、とある辞書によると「いつまでも限りなく続くこと。また、そのさま」とあり、私たちの日常使っている永久という言葉の認識と一致している。永久保存といいながら、実は「7日間しか寿命がないかもしれないディスク」を保管用媒体に使っているわけだ。

過去には「酸性紙問題」というのがあった
1950年頃より木材パルプと硫酸アルミニウム紙の大量生産技術が開発され、書籍にもこの紙を多く使った。ところがこの紙、50年間も経たずに劣化したのである。茶色っぽく変色する。それだけならいいが、触れただけでもボロボロになってしまう。保管環境のよい図書館の書籍もこの紙(酸性紙)を使ったものはことごとく劣化してしまった。これが酸性紙問題。現在は中性紙が使われているためこの被害はない。
ここで、「50年も経たずに劣化したのである!」とのフレーズは重要だ。つまり「たった50年という短い期間で・・・・」ということなのだから。
紙に印刷された情報と、デジタルの情報の違いはある。だけど、重要なのは時代が変わってもその時必要になった情報を「人」が正しく認識できることである。アナログでもデジタルでも最終目的に変りはない。

「永久」を現実的な数値に置き換える
永久という言葉の意味にこだわっていると話が進まない。言葉の解釈を現実的なものに変えて数値であらわすならば、200年くらいの寿命が必要だろう。しかも10枚のディスクのうち2枚は100年で読み取りができなかったではダメであって、10枚とも読み取れなければならない。だから、実力は300年またはそれ以上の耐久性が求められるのかもしれない。
中には1,000年以上の耐久性があるもが含まれているとしても総合的には意味が無い。どの固体ディスクをとっても200年以上保証できることが大事なのだ。

記録する方法が違う
1982に発売された音楽CDはいまでも、変らず再生できる。デジタルなので音質そのものが悪くなることもない。CDの寿命は「10年以上」と表現はあいまいではあるものの、少なくとも30年くらいは寿命が保証されている、かと思いきや、実はそうではないのだ。
市販されているCD-ROMは私たちがパソコンで使うCD-Rとは記録方法が違う。音楽や映像を記録し市販されているCD-ROMはピットといって小さな穴を刻んでいるため堅牢な記録ができている。対し、一般のパソコンで記録できるCD-Rは有機色素を変化させているので軟弱な記録だ。
市販されている音楽CDのように堅牢な技術で記録されているものが30年の耐久があるのは当たり前である。30年も経たずして読み取れなくなるのなら過去の酸性紙問題にも劣る。
私たちが、パソコンで記録しているDVDやCDの耐久性は実環境下では未検証なのである。

本当の耐久性は分からない
ディスクの品質
ディスクの基盤は耐熱性・耐衝撃性・透明度に優れているポリカーボネートというプラスチックが使われている。ポリカーボネートの品質、有機色素の品質はもちろん、生産にも高度な技術が要求される。記録部分をはさんで、厚さ0.6mmの基盤2枚をサンドイッチのように張り合わせる。この張り合わせる高度な技術がディスクの品質を左右する大きな要素だという。
ディスクの平面度が悪かったり、回転軸に対し中心がずれていたりしているものは品質を語る以前の最低な製品だ。
ディスクの生産において、日本の技術はトップクラスであることはご承知の通りであるが、市販されているディスクはどこで作られたものかわかりにくい。
保存環境
温度(高温になると劣化しやすくなる)
湿度(湿度が高いと劣化しやすくなる)
紫外線(紫外線は色素を劣化させる)
物理的破損(ディスクの表面にキズがつく、ホコリがつく)
これら製品の品質、保管環境によっては数日間でダメになってしまう場合もある。

加速試験
記録ディスクの推進団体CDs21ソリューションズは2008年1月15日、同団体が開発してきたCD-RやDVD-Rなどディスク寿命推定試験法が「ISO/IEC 10995」として承認されたと発表した。ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の承認を受けたことにより、この測定法がメーカーなどに浸透することが期待される(以上ニュースの記事を引用)。
100年でどれだけ劣化しているかを知るには100年待たなければ分からない。そこで加速試験というのをやる。加速試験とは、悪環境で試験を行い、通常の環境に換算するとこうなる、という理論的な結果を出す方法だ。劣化が加速された状態(例えば温度が80℃ , 70℃ , 60℃)を実測し、その劣化度合を常温(例えば25℃)にあてはめる。
もちろん、こんな単純な要素だけでの実験ではないはずで、厳重な管理の下あらゆる環境要素や物理的理論が盛込まれているのだろうけど、そのあたりは専門家に任せよう。実際、アイリングモデルといって湿度の影響も考慮した手法が採用されるらしい。

技術的進歩の明暗
デジタルデータの保存に関しては、機器もソフトウェアも媒体も劇的に進歩しているので、案外、保存耐久性なんて気にしなくもよい時代がすぐそこまで来ているのかもしれない。何万年でも大丈夫という堅牢確実なディスクの誕生はあるだろう。
劣化なんてまるっきり気にしなくてもよい時代。ああ、それなら安心。
そうだろうか。
劇的に進歩しているということは、数十年先に、DVDやCDを読み取る機器が存在しないかもしれないということだ。そうなればディスクに耐久性が良かろうが悪かろうがどうでもよい。要するに読み取る手段がなくなってしまう。技術の進歩というのは、便利と不便が同時にやってくるもののようだ。

デジタルはいったい何を残してくれるのだろう
時代が変わってもちゃんと閲覧できればいいんだけでど



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